摩擦増大用アスファルトマット(KAM)

概要

摩擦増大用アスファルトマットは、重力式構造物の底面と基礎捨石マウンド間に敷設することで滑動抵抗力(摩擦抵抗力)の増大により、断面縮小による大幅なコスト削減に寄与します。
重力式構造物と基礎マウンドに狭在させることでなじみ性の向上、荷重分散効果による安全性向上にも寄与します。
『令和3年度土木学会全国大会第76回年次学術講演会』では、実海域で長期間供用(57年、50年、29年経過)されたケーソン底面から採取したアスファルトマットの長期耐久性が評価機関で確認されました。
アスファルトマットを使用した防波堤の滑動例はありません。

用途

・防波堤・護岸の断面縮小及び耐震
・ケーソン堤底面の滑動抵抗(摩擦増大)
・ブロック堤底面・ブロック間の滑動抵抗(摩擦増大)

用途大波浪でも粘るケーソン

ケーソン堤での使用例 ケーソン堤での使用例

ブロック堤での使用例 ブロック提での使用例

洋上風力発電施設での使用例 洋上風力発電施設での使用例

特徴

特徴 1

捨石,コンクリートとの滑動抵抗係数(摩擦係数)が大きく、断面を縮小して工費節減が可能です。(捨石同士の摩擦係数0.8を使用可能)

特徴 4

比重が2.2以上あり、水中の捨石マウンドに直接敷設する際の施工性,安定性に優れています。(ケーソン据え付け作業時も安定しています。)

特徴 5

環境にやさしく周辺海域の水質に影響はありません。(ブルーカーボン生態系に寄与)

東日本大震災で大きな効果と粘り強さを発揮

2011年に発生した東日本大震災では 各地の防波堤にて効果が確認されました。

1) 岩手県 釜石港湾口防波堤

震災前の衛星写真(2009年12月)震災前の衛星写真(2005年4月)
Google Earthより

震災後の衛星写真(2011年3月)震災後の衛星写真(2011年3月) Google Earthより

北堤浅部で6函にアスファルトマット使用。北側1函のみ隣接するケーソン(マットなし)移動に伴う捨石マウンドの崩落の影響で移動。北堤浅部で6函にアスファルトマット使用。北側1函のみ隣接するケーソン(マットなし)移動に伴う捨石マウンドの崩落の影響で移動。

東日本大震災での効果が認められ、震災復旧工事において全ケーソン式防波堤にアスファルトマットが採用されました。

2) 岩手県 田老漁港

震災前の衛星写真(2009年7月)Google Earthより震災前の衛星写真(2009年7月)
Google Earthより

震災後の衛星写真(2011年3月)Google Earthより震災後の衛星写真(2011年3月)
Google Earthより

港内のケーソンは津波で被災しているが、アスファルトマットを使用したケーソン式防波堤の滑動はありませんでした。

東日本大震災後、各港湾・漁港を当社で現地確認した結果、アスファルトマットを使用したケーソン式防波堤の滑動はありませんでした。

構造

取付タイプ(ケーソン製作時設置)とマウンド敷設タイプ(ケーソン設置前に捨石マウンド上に敷設)があります。

取付タイプ(N型)構造図(例) 孔あきタイプ

孔なしタイプ

アスファルトマットの規格値は国土交通省港湾局監修「港湾の施設の技術上の基準・同解説」公益社団法人日本港湾協会 平成30年5月による

評価機関からの評価

当社の摩擦増大用アスファルトマット「KAM」は『一般財団法人沿岸技術研究センター』より確認・評価を受けております。

公共機関からの評価

一般財団法人 沿岸技術研究センター 評価証 第09003号 摩擦増大用アスファルトマット「KAM」

(2010年4月に交付,2020年3月第2回更新)

摩擦増大用アスファルトマットの施工フロー

アスファルトマット製作状況

アスファルトマット製作状況

アスファルトマット製作完了

アスファルトマット製作完了

トラック積込状況

トラック積込状況

アスファルトマット敷設状況
(フローティングドック上)

アスファルトマット敷設状況(フローティングドック上)

アスファルトマット敷設完了
(フローティングドック上)

アスファルトマット敷設完了(フローティングドック上)

アスファルトマット付ケーソン製作完了
(フローティングドック上)

アスファルトマット付ケーソン製作完了(フローティングドック上)

ハイブリッドケーソンへの使用例

アスファルトマット敷設状況

アスファルトマット内部に設置した鋼殻支持材沈下防止金具

鋼殻支持材、沈下防止鉄板の設置状況

鋼殻設置状況

鋼殻設置後の鋼殻支持材
沈下防止鉄板

ハイブリットケーソン吊り上げ状況

ハイブリットケーソン
吊り上げ曳航状況

技術情報

施工実績